「シンシン」がまとまって手に入ることはめったにない。
肉専門店ならともかく、カフェテラオのような規模では、なかなかまとめ買いができないからだ。
うちももの芯、さらにその中央というシンシンを、切り分けてもらえる機会は少ない。
今回は国産黒毛和牛A5クラスで250g超を5枚だけ入手できた。
柔らかい部位と言っても、火を通しすぎたのでは噛み切れなくなる。
牛肉に含まれる3つのタンパク質の特性を知ることが重要になる。
具体的にはミオシン、コラーゲン、アクチンである。
ミオシンは50℃と一番低い温度で変性を開始する。火が通ると、ぐにゃぐにゃしていた食感が、歯切れが良くなる理由だ。
シンシンはコラーゲンの少ない部位なので、ここでは触れない。
問題はアクチン。66℃が変性開始の境界なのだが、熱が加わって収縮することで、牛肉の中にある水分を排出して硬くなってしまう。
つまり表面はこんがりと歯切れよく、中はほどほどに温かく、ジューシーに仕上げるには、強火でさっと焼いて、中まで温かくなるが硬くならないようにする見極めが必要だということだ。
実はシンシンが好きで、これまで何回も焼いてきた。
今回、手に入れた部位の厚みを確認。貴重な1枚を使って調理、試食してみた。
もちろん、シャトーブリアンのようなやわらかさはないけれど、肉の旨味に関しては、こちらに軍配が上がる。
しかもステーキサンドとの相性がいい。
でも、「シンシン」はいつでも入荷できるものではなく、通常メニューの「ステーキサンド」は別の部位を使用しています。それでも充分ご満足いただける味になっています。是非、お試しください。
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